(昨夏の旅行記の続き)日中はクリッペンシュタインに行く予定を急きょハルシュタットに変更しましたが、それも夜にこのオペレッタをしっかりと観るため。今回の旅行で一番楽しみにしていたオペレッタ、レオ・ファル/マダム・ポンパドゥールです!

 

 

Lehár Festival Bad Ischl

Leo Fall

MADAME POMPADOUR

 

Musikalische Leitung: Christoph Huber

Inszenierung: Thomas Enzinger

Choreografie: Evamaria Mayer

Step-Choreografie: Astrid Nowak

Bühnenbild: Sabine Lindner

Kostüme: Sven Bindseil

Lichtdesign: Johann Hofbauer

 

Marquise de Pompadour: Julia Koci

Belotte, ihre Kammerzofe: Loes Cools

Graf René: Maximilian Mayer

Madeleine, seine Frau: Elisabeth Zeiler

Joseph Calicot, ein Dichter: Kaj-Louis Lucke

König Ludwig XV.: Claudiu Sola

Polizeiminister Maurepas: Alfred Rauch

Poulard, ein Spitzel in Diensten Maurepas: Markus Raab

Collin, Haushofmeister der Pompadour: Thomas Enzinger

Prunier, ein Gastwirt: Tim Winkelhöfer

 

Franz Lehár-Orchester

Chor des Lehár Festival Bad Ischl

 

 

(写真)会場はバート・イシュルのクーアハウス。沢山の花に囲まれて、このロマンティックな雰囲気の中でオペレッタを観るのがいいんです!

 

 

 

 

 

マダム・ポンパドゥール!!!オーストリアの作曲家レオ・ファル(1873-1925)の作品ですが、こんなオペレッタがあるなんて、ご存知の方、いらっしゃいますか?おそらく余程のオペレッタ・フリークの方でもなければ、聞いたことすらないと思います。

 

 

 

マダム・ポンパドゥールのあらすじをごく簡単に。ルイ15世の愛妾マダム・ポンパドゥールは謝肉祭で賑わうパリのまちに繰り出しますが、そこで自分への風刺の歌を耳にします。捉えた犯人のクリコとルネに寛大な処置を与えて、宮廷に連れて帰るマダム・ポンパドゥール。

 

宮廷でクリコやルネと愉快なやりとりがあった後、帰ってきたルイ15世に浮気を疑われるマダム・ポンパドゥール…。しかし、見事に疑惑を晴らしてハッピーエンドになるという、とても楽しい物語です。

 

 

 

今回の観劇のため、アンネッテ・ダッシュさんがマダム・ポンパドゥールを歌う、フォルクスオーパー・ウィーン盤のCDで予習しましたが、音楽がめちゃめちゃ素晴らしく、正に「どハマリ」しました!世の中にはまだまだ知られていない素晴らしい音楽があるんですね~!

 

 

(写真)そのフォルクスオーパー・ウィーン盤のマダム・ポンパドゥールのCD。一昨年の新国立劇場のR.シュトラウス/ばらの騎士の元帥夫人が最高だったアンネッテ・ダッシュさんのマダム・ポンパドゥールが素晴らしい!そして、お付きのボレロを歌うのは、今年の元日のウィーン・フォルクスオーパー交響楽団のニューイヤー・コンサートでも素敵な歌を披露したベアーテ・リッターさんです。

 

 

 

特に、第1幕のマダム・ポンパドゥールのワルツの歌は、世の中にこんなにウキウキする歌があるんだろうか?と思うくらいの素晴らしさ!この歌をいよいよ実際に聴ける!期待感いっぱいで観に行きました。

 

(参考)マダム・ポンパドゥールのワルツの歌“Heut, könnt' einer sein Glück bei mir machen”。今回の旅行では素晴らしい音楽に沢山出会いましたが、予習の段階で最もメロメロになったのがこの歌です。何このワルツのウキウキ感!!!

https://www.youtube.com/watch?v=xr53vOOdzec (3分)

※Helene Feldbauerさんの公式動画より

 

 

 

 

 

さあ、始まりました!まずは序曲。途中、マダム・ポンパドールのワルツの旋律がたっぷり演奏されて、この時点でもう最高!ポン・ポン・ポン・ポンパドゥールのリズムも木管によりお茶目に出てきて、まあ楽しい序曲です。

 

 

舞台は謝肉祭のパリの酒場。詩人クリコが大袈裟に「ポン・ポン・ポン・ポンパドゥール」と歌って、マダム・ポンパドゥールを風刺します。歌に合わせて「ハ!ハ!ハ!」と笑って大いに盛り上がる聴衆たち。

 

そこにマダム・ポンパドゥールとお付きのボレロがお忍びで登場します。登場の出だしでは、第2幕でルネ伯爵が「マダ~ム、ポンパドゥ~ル」と歌う歌の旋律がたっぷり演奏されて雰囲気出ますね~。

 

 

そして、いよいよ楽しみにしていたマダム・ポンパドゥールのワルツの歌。Julia Kociさんによる素晴らしい歌!演技も踊りも楽しく、酒場に意気揚々と繰り出すマダム・ポンパドゥールの気持ちの高まりがよく伝わってきます!歌の途中でのボレロとの掛け合いも楽しい!

 

マダム・ポンパドゥールとルネ伯爵のデュエット“Mein Prinzesschen”もチャーミングで雰囲気あって、本当に素敵な歌。マダム・ポンパドゥールのハミングが効いてとてもいい!このオペレッタ、出てくる歌や音楽がことごとく素晴らしい!

 

 

ひとしきり楽しいやりとりが展開された後、まさか本人がいるとは知らずに、「ポン・ポン・ポン・ポンパドゥール」と風刺の歌を歌うクリコ…。反君主主義の首謀者として警察長官に捕まってしまいますが、そのクリコとルネ伯爵に対して、マダム・ポンパトゥールはほとんど罰とは言えないような寛大な処置を施し、2人を宮廷に連れて帰ります。

 

マダム・ポンパドゥールがどれだけ機転の効く女性なのかよく分る素晴らしいシーン!粋な計らいを見て、周りの聴衆たちも「マダム・ポンパドゥール!」を連呼し、喝采して盛り上がります!最後はラタプランの行進曲のリズムになり大盛り上がり!鳥肌立ちました!

 

 

 

 

 

休憩の後、第2幕はマダム・ポンパドゥールの宮廷。幕が始まる前に、マダム・ポンパドゥールの執事に扮したバート・イシュル・レハール音楽祭のインテンダントのトーマス・エンツィンガーさんが、観客を相手に、後で舞台の歌に合わせるため、「あ~」と「お~」を歌う練習をします。

 

女性の観客は「あ~↑」、男性の観客は「お~↓」と歌いますが、エンツィンガーさん、女性には「いいね!」と褒めて、男性には「もう全くダメ!」とけなす、お約束のリアクションがめっちゃ楽しい!笑 本番も観客が歌って盛り上がりました!

 

 

ここで、マダム・ポンパドゥールの前に、妹を名乗る女性マデレーネが登場。妹と再会できたことを喜ぶマダム・ポンパドゥールですが、垢抜けない出で立ちの妹を着替えさせ、さらにはボレロに頼んで、男を惹き付ける「あざとさ」をさっそく妹に教えます、笑。

 

 

いよいよお楽しみのマダム・ポンパドゥールが「ヨーゼフ」を連呼する歌。お風呂とワニも登場して、マダム・ポンパドゥールがヨーゼフ・クリコに迫って、クリコがタジタジになるシーンがめっちゃ楽しい!大人なオペレッタですね~笑。

 

(ちなみに予習CDではマダム・ポンパドゥール役のアンネッテ・ダッシュさんがいろいろな声色でユーモラスにクリコに迫っていて、大いに魅了されました!アンネッテ・ダッシュさんはフォルクスオーパー・ウィーンの来日公演のレハール/メリー・ウィドウのハンナも素晴らしかったように、オペレッタを歌ってもいいですね~!)

 

 

ルネ伯爵が「マダム~、ポンパドゥール~」とゆっくり歌うセレナーデもとても印象的。そして、いよいよルイ15世が登場します。まるでロック・スターのように女性陣からキャーキャーと黄色い声を浴びて登場しますが、ルイ15世、何と見事なタップダンス披露します!しかし、王様の威厳がなくて、何だか軽いような…?

 

そして、ルネ伯爵の存在に気付いて、マダム・ポンパドゥールが浮気をしているのでは?と疑惑を持つルイ15世。ですが、これが全然深刻でなく、タップダンスを「カタカタカタ!」と鳴らしながら問い詰めるので、もう軽いのなんの!権威も何も感じられない軽すぎるルイ15世、めっちゃウケました!(併せてタップダンスの醸し出すニュアンスって凄い!)

 

 

マダム・ポンパドゥールがささやくように歌うチャーミングな歌もいいですね~。そして、最後、隠し部屋からルイ15世が見ている中、もともと夫婦のルネ伯爵と妹を和解させてくっつけて、自身の疑いを見事に晴らすマダム・ポンパドゥール!お見事なお手前!

 

と思ったら、何とルイ15世が眠っていてその現場を見ていなかった、というオチが付きました!笑 でも、最後はなぜか丸く収まって、マダム・ポンパドゥールとルイ15世、ルネ伯爵と妹、クリコとボレロが結ばれてフィナーレ!いや~、めちゃめちゃ楽しいオペレッタ、音楽も素晴らしく最高!レオ・ファル生誕150周年の良き思い出となりました!

 

 

 

 

 

 

 

(追伸)1月13日(土)は下野竜也/都響のマチネのコンサートを聴きに行きました。津田裕也さんのピアノによるしっとりミステリアスなモーツァルト24番も素敵でしたが、下野さんのブルックナー1番が、特に第4楽章が圧巻!第1主題が戻ってくるところと最後のコーダをたっぷりの演奏で大いに感銘を受けました!ブルックナー生誕200周年の素晴らしいスタート!

 

そして、さらに心を打ったのが、コンサートの前に、能登半島の大地震の犠牲者への追悼演奏として、バッハ/G線上のアリアが演奏されたこと。都響は言うまでもなく東京都民のオーケストラです。東京都民のみなさまの気持ちを代わりに伝えてくれるような、地震の犠牲者の方々に哀悼の意を捧げる厳粛な演奏。どうか被災地のみなさまに届きますように。